こんにちは、Medica_Labnoteです🧬
再生医療・医薬品原料の研究開発に携わる20代研究者ママとして、今日はちょっとした「雑学」から、細胞の不思議に迫ってみたいと思います。
「人間の体は7年ごとにすべての細胞が入れ替わる」
──こんな話、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？
この話、実は「半分ホント、半分ウソ」。
細胞レベルで見ると、私たちの体は驚くほどダイナミックに“日々生まれ変わって”いる一方で、「ほとんど一生変わらない細胞」も存在します。
今日はそのメカニズムと、再生医療の視点から見た“細胞の寿命と可能性”について、わかりやすく、でもしっかり深掘りしていきます。
【1】そもそも「細胞の入れ替わり」って何？
私たちの体は約37兆個の細胞でできているといわれています。
この細胞たちは、寿命が来たり、ダメージを受けたりすると「アポトーシス（自然死）」や「老化」によって役目を終え、新しい細胞が“分裂”や“再生”によって生まれてきます。
つまり、細胞は「生まれ変わり続ける」のが基本。
これが「細胞の入れ替わり」という現象の正体です。
ただし、すべての細胞が同じスピード・同じサイクルで入れ替わるわけではありません。
【2】部位ごとに違う「細胞の寿命」
部位や組織ごとに、細胞の“新陳代謝”のスピードは大きく異なります。具体的な例を見てみましょう👇
🩸 血液
赤血球： 約120日で入れ替わり
血小板： 約7〜10日で入れ替わり
白血球： 数時間〜数日で入れ替わり
🩻 皮膚
皮膚の表皮細胞： 約2〜4週間で完全に入れ替わり
🦴 骨
骨の細胞（骨芽細胞・破骨細胞）： 約10年サイクルでリモデリング
🌿 腸の上皮細胞
消化管の内側の細胞： 約3〜5日で入れ替わり（かなり早い！）
🧠 脳神経細胞
脳の大部分（特に大脳皮質の神経細胞）： 基本的に入れ替わらない
※ただし、海馬など一部の領域では新しい神経細胞が生まれる「神経新生」がごく限られた範囲で起こることがわかっています。
❤️ 心臓の筋肉細胞（心筋細胞）
非常にゆっくり。一般的には、1年で1%未満しか入れ替わらないと考えられています。
【3】「7年で全身入れ替わる説」はどこから来たのか？
この説の元ネタは、平均的な細胞の寿命をざっくり計算した結果だといわれています。
実際、皮膚や血液、腸のように短期間で入れ替わる組織もあれば、骨や心臓のように非常に長い時間がかかる組織もある。
「7年」という数字は、これらをまとめて平均化したときの、おおまかな目安であって、すべての細胞がピッタリ7年で入れ替わるわけではありません。
【4】入れ替わらない細胞たちと、老化の関係
脳や心臓のように「ほぼ一生入れ替わらない」細胞が存在することは、私たちの健康と老化にとって重要な意味を持ちます。
これらの細胞は、生まれたときから一生働き続け、傷ついたり数が減ったりすると、簡単には補充できません。
そのため、加齢や病気、外傷によってダメージを受けると、機能低下が進みやすいのです。
【5】再生医療が目指すもの
まさにこの「入れ替わらない細胞」をどう補うかが、再生医療の最大の課題です。
iPS細胞や幹細胞を用いた研究では、将来的に脳や心臓といった“入れ替わらない細胞”を人工的に再生・補充することが夢見られています。
実際に、心不全や脳卒中後のダメージを補うための再生医療は、臨床研究・治験が少しずつ進んでおり、「完全な入れ替え」には至らないものの、機能改善が期待されるケースも報告されています。
【6】まとめ｜細胞は“部分的に”生まれ変わり続けている
「体は7年で全部入れ替わる」
この言葉を聞いたとき、少し誤解もあるけれど、でも確かに私たちの体は日々生まれ変わっています。
皮膚も、血液も、腸も、私たちは常に「再生と破壊」を繰り返しながら生きている。
その一方で、「入れ替わらない細胞」も私たちの個性や記憶、存在の根幹を支えているのです。
研究者として、ママとして、生き物を愛する一人として──
そんな細胞の不思議と、その可能性に、これからもワクワクしながら向き合っていきたいと思います。
【7】あなたの細胞、今日も頑張ってます
最後にちょっとした実感を。
この記事を読んでいる“今この瞬間”にも、あなたの体の中では何百万もの細胞が死に、新たに生まれ変わっています。
その営みが、健康や若さ、そして生命そのものを支えている。
もしよかったら、今日1日、自分の身体と細胞に「ありがとう」と言ってあげてくださいね😊
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